スーパーの卵売り場でたまに見かける「平飼い」とかいてある卵。
食にこだわりのあるお店や通販サイト、生協でも取り扱ってたりしますが、価格はちょっとお高め。
スーパーで特売品として並ぶ卵とは一線を画してて、なんとなく貫禄すら感じる平飼い卵。
日本人は、平均するとひとりあたり年間300個以上もの卵を食べているっていうデータがあるくらい、卵好き。
おいしいし、茹でても炒めても焼いてもOK、和洋中どんな料理にでもオールマイティに使える卵は、完全栄養食といわれるほどすぐれた食べ物です。
だから毎日の食事に積極的に取り入れたい。
そうなると少し手も安いほうがいいから特売の卵を買うというその気持ち、わかります。
私だってそりゃあ安いにこしたことはないけれど、でも気になる「平飼い卵」の存在。
高いものにはそれなりの理由があるはず。
ということで、「平飼い卵」ってなんなのか、特売卵と何がちがうのかを探ってみることにしました。
平飼い卵とは?
まず平飼い卵とは、そのことばの通り”平たいところ”で育ったニワトリがうんだ卵のこと。
平たいところ?
鶏舎内の地面が平たいってことなんですが、平飼いの特徴はそれだけではありません。
平飼いの特徴を知る
平飼い用の鶏舎は、外からの風や光が入るようになっていて、より自然に近い環境になるように作られています。
ニワトリたちは、鶏舎内を自由に動き回ることができるし、ニワトリの習性である砂浴びをしたり、地面をつついたり、好きな場所で卵をうんだりできる。
そしてとまり木も作ってあるから、寝るときはそこにとまって寝ることができる。
つまり平飼いの鶏舎内には、ニワトリのもともと持っている習性が当たり前にできる環境があるんです。
平飼いはニワトリが自由に動き回れる、と聞くと「放し飼い」されてるイメージを持ってしまいがちですが、それともちょっとちがいます。
「放し飼い」というのは、鶏舎内も鶏舎の外も自由に行き来できる状態のこと。
一方平飼いは、あくまでも「鶏舎内で自由にできる」という点で、放し飼いとはちがいます。
デメリットは管理の難しさ
ニワトリの気持ちになって考えてみると、平飼いされる方がうれしい。
ただ、管理する人間の側になるとデメリットが少なからずあります。
- ニワトリの健康状態をチェックするのが難しい
- 鶏舎内を清潔にするのが大変
- 手間がかかる分卵の価格が高くなる
たくさんのニワトリが鶏舎内を自由に動き回っているわけですから、1羽ずつ健康状態を把握するなんて、想像するだけで至難の業。
例えば犬みたいに、1頭ずつひと目で分かるような特徴があったり、人間になついてくれて、順番を待ってじっとしてくれたりするとちがうんでしょうけど。
「待て」ができるニワトリって聞いたことない。
そしてニワトリ、空は飛べないけど鳥の仲間。
本能のおもむくまま、ところ構わずフンをします。
なので鶏舎内を清潔に保つのは一苦労。
少しでも掃除をサボると、きっとあっという間に不潔になってしまうんでしょうね。
平飼いでは健康管理にしろ、鶏舎内の清掃にしろ、管理している職人さんがハンパない手間ひまかけてニワトリをお世話しないといけないのです。
当然その手間ひま分が、価格に反映されてしまうわけですね。
ストレスが少なくてニワトリ元気
管理する側にとっては大変な平飼いですが、何を差し置いてもこれが一番大切ともいえる大きな大きなメリットがあるんです。
自由に動ける鶏舎で、本来の習性を当たり前にすることができる。
そんな環境でのびのびと育ったニワトリはとても健康で病気もしなくなるので、薬を使うことが減ります。
また日常的に動き回れるので、質がよく生命力にあふれるニワトリとなるわけです。
そんな鶏のうんだ卵、おいしくないわけがありません。
養殖より天然物がおいしいっていうのと同じ感じかな。
おいしく安全な卵。
目的はそこにあるわけですから、平飼いのメリットは妥協できないものなんです。
特売の卵が安いワケ
一方で日本の養鶏場は、多くは「ケージ飼い」をしています。
特売でスーパーに並んでる卵たちは、この「ケージ飼い」されてるニワトリがうんだ卵。
ケージ飼いで効率重視
ケージというのは、鳥かごのこと。
私もそうですが、養鶏場ときくと上の画像のように、鶏舎の中にひな壇みたいな段があって、そこにずら~っとニワトリが並んでるのを想像しますよね。
これがケージ飼いです。
デメリットはニワトリのストレス
ケージに入れられているニワトリ、自由に動くことが出来ないのでストレスがたまります。
人間も同じですが、ストレス過多だと免疫力が落ちて病気になりやすい。
そして狭いところは病気が蔓延しやすいため、飼料に薬を混ぜたりして対策しないといけないそうです。
しかも卵を大量にうみ続けると、卵自体の質が落ちるともいわれています。
私は卵ってみんな同じっていうイメージを持ってて、深く考えたことなかったからちょっと衝撃でした。
管理しやすくてコスパがいい
でもケージ飼いにももちろん、メリットはあります。
それは管理のしやすさと、コスパの良さ。
鶏舎内の温度管理やエサやり、採卵やフンの掃除も完全にオートメーション化しているので、効率もよく鶏舎内がとても清潔です。
そして平飼いでは動き回るニワトリの健康状態を把握するのは大変でしたが、ケージならニワトリが並んでいるので、それも比較的簡単。
管理が楽な分、大量にニワトリを飼うことができ、たくさん卵をうませることができます。
そしてその結果として、卵の価格をおさえることができるというワケです。
なるほど、特売卵の安いワケはここにあったんですね。
栄養満点、料理の万能素材ともいえる卵は冷蔵庫に常備しておきたいもの。
家計を預かるシュフとしては、少しでも安く手に入れたいので、やっぱり特売は魅力的に思えちゃいますね。
まとめ
自然な環境に近い平飼いという飼育方法で健康に育てられたニワトリがうんだ卵は、味もおいしく安全性も高いけど、手間ひまかかる分価格も高くなります。
一方スーパーで安く売られてる卵は、ほとんどがケージ飼いされたニワトリがうんだ卵。
ケージ飼いだと管理も徹底できてコストがかからない分大量生産することができるので、価格を下げることができます。
どちらも同じ卵なので、もちろん目玉焼きにも卵焼きにも、ゆで卵にもなります。
正直いうと、味のちがいがわかる自信はあまりないのだけど、でも私はやっぱり、健康なニワトリのうんだ卵のほうがいいなぁ。
身体に入れるならできるだけ安全なものを、というのはもちろんだけど、その方がなんとなくいっぱい元気がもらえそうな気がします。
でもお給料日前とかでフトコロがさみしいときは、特売の卵にもお世話になろうかな。