普段何気なく飲んでいる牛乳。
どこのスーパに行っても結構大きな牛乳コーナーがあって、値段もピンきりで、ほんとにたくさんの種類の牛乳がありますよね。
そんなたくさんの牛乳たちの中で、牛乳界価格ピラミッドのトップに君臨しているのが「低温殺菌牛乳」です。
私は全般的に牛乳が大好きなのですが、低温殺菌牛乳の美味しさは格別。
でも、同じ牛乳なのにめっちゃ高いし、一体なにが違うんだろう?
気になった私は、低温殺菌牛乳のおいしさのヒミツを探ってみたんです。
そして知ってしまった、衝撃の真実!
実はこの「低温殺菌牛乳」、おいしいだけじゃない、おどろきのヒミツがあったんです。
低温殺菌牛乳とは?
牛乳は搾乳されたあと、安全に飲めるようにするために殺菌処理をする必要があるのですが、その殺菌温度はいくつかあって、主なものが以下の3種類。
種類 | 超高温殺菌(UHT) | 高温殺菌(HTST) | 低温殺菌(LTLT) |
殺菌温度 | 120~150℃ | 72℃ | 63~65℃ |
殺菌時間 | 1~3秒 | 15秒 | 30分 |
3種類の中で一番低い温度である63℃~65℃で殺菌しているものを、低温殺菌牛乳とよんでいます。
超高温殺菌と低温殺菌では、温度が倍ほど違いますが、時間で比べると低温殺菌は超高温殺菌の、なんと約600倍の30分もかかるんです。
ということは手間ひまかけている、つまりコストがかかるし、大量生産できないんですね。
だから流通が少なく、値段もお高い、それが低温殺菌牛乳なんです。
パスチャライズド牛乳と低温殺菌の関係
先程の表にある72℃の高温殺菌と、63~65℃の低温殺菌のことを「パスチャライゼーション」といいます。
その殺菌方法で作られた牛乳をパスチャライズド牛乳と呼んでいて、低温殺菌牛乳はパスチャライズド牛乳のひとつなんです。
このパスチャライゼーションは、病原菌を殺菌することと、牛乳をできるだけ生乳に近い状態に保つことを両立させる殺菌方法。
先程も言いましたが、低温殺菌はとても時間がかかってコスパが悪いので、どうしても価格が高くなってしまいます。
でも、もう一つの高温殺菌は72℃で15秒と、牛乳本来の味と栄養分を損なわないギリギリの温度で、できるだけ殺菌時間を短くして効率よく生産できるようにしたものなんです。
だから低温殺菌牛乳より価格を抑え、味も本来の牛乳に近い美味しさを実現することができる、というすぐれもの。
ただ残念ながら、超高温殺菌に比べてしまうとどうしても殺菌時間がかかってしまうし、賞味期限も短くなってしまうからか、なかなか市販で高温殺菌の牛乳を見かけることはありません。
殺菌温度で牛乳が変わる
先程牛乳の殺菌温度を3種類紹介しましたが、なんと牛乳、殺菌温度で驚きの変化をするのです。
その主なものが以下の2つ。
- 風味の変化
- 飲んだあとの変化
いつもの牛乳の味は焦げた味
スーパーなどで多く市販されている超高温殺菌牛乳を飲み慣れていると、パスチャライズド牛乳を飲んだとき、なんとなく物足りない感じがするってよく聞きます。
私も初めてパスチャライズド牛乳を飲んだ時、思ったよりサラッとしてて拍子抜けしました。
パスチャライズド牛乳には、あの独特の牛乳臭さがないんですよね。
あの独特のニオイや後味を、”牛乳のコク”だと思われてたりしますが、でもほんとはあれ、牛乳を超高温で加熱したせいで牛乳が変質した、簡単に言うと焦げた味なんですよ。
これはちょっと衝撃的。
パスチャライズド牛乳はそれがないので、とってもサラッとしてさっぱりした味。
実はそれが、牛乳本来の味なんです。
牛乳はお腹の中で変化する
牛乳は、本来牛の赤ちゃんを育てるためのものなので、栄養がたっぷり入ってます。
人間も同じですが、赤ちゃんは固形物が食べられないから液体で栄養を摂取しますよね。
でも本来の牛乳なら、液体で摂取してもお腹の中に入ると、なんとプリン状に固形化するんです。
固形化することで、ゆっくり胃から腸へ運ばれてじっくり消化され、体の隅々に栄養が行き渡るようになっているんですよ。
神秘的ですよね~。
そして、この牛乳が固形化する仕組みを利用して作っているのがチーズ。
ところが、超高温で加熱された牛乳は成分が変わってしまっているから、お腹で十分に固まらないまま腸へ運ばれてしまう。
それどころか、加熱して燃えカスのように変わってしまった成分は、消化するのにストレスになるんだとか。
見た目は同じ牛乳でも、殺菌温度によってぜんぜん違うものになってたんです。
牛乳を飲むとお腹がゴロゴロする、ゆるくなるという人は、一度パスチャライズド牛乳を試してみるといいかもしれませんね。
ちなみに超高温殺菌牛乳を作ってるメーカーも、チーズ作りにはパスチャライズド牛乳を使ってるんだそうですよ。
日本で超高温殺菌が主流になったワケ
先程、日本で市販されてる牛乳の約9割が超高温殺菌だと書きましたが、なぜ超高温殺菌が主流になったのかが気になりますよね。
体に優しいなら、パスチャライズド牛乳のほうがいいのに。
実は世界の多くの国で牛乳といえば、パスチャライズド牛乳なんです。
そして、超高温殺菌している牛乳はロングライフ牛乳とよばれ、長期保存を目的とするためのもので、なんと普段飲む牛乳とは別物という扱い。
え?!じゃあ日本だけ焦げた牛乳が主流なの?
以前は日本も、高温殺菌が主流だったんです。
ところが、今のように衛生管理を徹底することも、冷蔵技術も高くなかった当時。
配送中の牛乳がどんな状態になるかって、想像しただけで恐ろしい・・・
そして牛乳に関連した異物混入事件まで発生。
牛乳はしっかり殺菌しなければ!
そんなわけで、お客様のところに安心安全な牛乳を届けるために、日本では超高温殺菌が主流になっていったんです。
コスパも良いから、メーカーもどんどん取り入れていったってことか。
中には超高温殺菌でしっかり殺菌したものを、更に滅菌した状態で保存して、より一層賞味期限の長い牛乳として販売されてるものもあります。
なにも知らなかったときは私も、それは画期的な牛乳なのかと思ったんですが、中身はロングライフ牛乳なのだから、当然といえば当然なんですね。
まとめ
今回は、低温殺菌牛乳のおいしさのヒミツを探ってみました。
牛乳の殺菌温度は、超高温殺菌、高温殺菌、低温殺菌の3種類。
そのうち高温殺菌と低温殺菌で作られた牛乳はパスチャライズと牛乳と呼ばれ、サラッとしたその味わいは、本来のしぼりたて牛乳に近い味。
そして、身体にも優しいんです。
でも、スーパーでたくさん売られているのは超高温殺菌。
私は低温殺菌牛乳のサラッとした味わいも好きだし、昔から飲み慣れた、あの超高温殺菌牛乳の味も嫌いじゃないんですよね。
でも牛乳と殺菌温度の秘密を知ってからは、牛乳のパッケージに書いてある殺菌温度を確認して買うようになりました。
そして低温殺菌牛乳を飲むときは、今お腹でプリン状になってるのかな~、なんて想像しながら飲んでます。
同じ牛乳だけど、同じじゃない。
これから牛乳を買うときは、ぜひパッケージに書いてある殺菌温度をチェックしてみてくださいね。